産婦人科

ミニピル外来

2021年03月13日

ミニピル外来

当院ではピル外来を設けておりますが、その中でミニピル外来も行っております。

 

A. ミニピルとは

卵胞ホルモンと黄体ホルモンの2種類が含有されている低用量ピルの副作用には、極めて稀ですが血栓症があります。特に、卵胞ホルモンがその発症に関連があると考えられております。そのため、低用量ピルを処方できない方々もたくさんいらっしゃるのが現状です。当院では、世界では当たり前の様に処方されている黄体ホルモン単剤が含有されているミニピルに着目し導入いたしました。現在低用量ピルを処方できない方々の避妊方法として国内では子宮内避妊具(IUS)がありますが、それだけではなくミニピルの選択肢が増えることは日本の女性にとって安心材料が増えるだけでなく、女性主体の避妊方法により望まない妊娠を予防できると考えております。つまり、ミニピルは低用量ピルの服用ができない方も服用可能です。また、低用量ピル同様に子宮内膜症への治療効果や子宮体癌の予防効果も期待できます。

 

B. 対象

  • 40歳以上
  • 喫煙者
  • 前兆を伴う片頭痛
  • 肥満(BMI 30以上)
  • 重症の高血圧症
  • もともと血栓を生じやすい
  • 心臓の疾患(弁膜症)   等

その他、医師がミニピルの適応と判断した方となります。

 

C. 薬剤

①セラゼッタ(デソゲストレル)

海外では承認薬ですが、日本では未承認です。

適応者:授乳中、喫煙者、肥満、高血圧、前兆のある片頭痛等で低用量ピルの服用ができない方や40歳以上の方に用いられます。

服用:月経初日から休薬期間なく連続内服します。毎日決まった時間に内服します。飲み忘れで12時間以上ずれると避妊効果が低下します。

副作用:不正出血、月経周期の変動、乳房不快感、頭痛、気分不良、嘔気、嘔吐などがあります。

②スリンダ(ドロスピレノン):現在準備中

世界62か国・地域で承認されており、2025年5月に日本でも承認されたミニピルです。

適応者:セラゼッタ同様に低用量ピルが服用できない方にも用いられます。

服用:24日間実薬服用に続いて4日間偽薬を服用するスケジュールです。スリンダの半減期は平均30時間と長いため1日の飲み忘れであれば避妊効果は低下しないとされています。

副作用:セラゼッタと比べて頻度はやや異なるものの概ね同様の副作用が報告されています。

 

D. 診療の流れ

①Step 1:初診

  • 問診
  • 診察(超音波検査・子宮頸がん検査)
  • 処方(1ヶ月分)

②Step 2:1ヶ月後の再診

  • 検査結果の説明
  • 処方薬の副作用の確認(LEPの場合、治療効果判定の確認)
  • 処方継続(1~3ヶ月分)

③Step 3:1~3ヶ月毎の再診

  • 処方薬の副作用の確認(LEPの場合、治療効果判定の確認)

④Step 4:1年後の再診

  • 問診
  • 診察(超音波検査・子宮頸がん検査)
  • 処方(1ヶ月分)

 

E. 使用する機器・薬剤について

①未承認医薬品等

当院で処方しているミニピル「セラゼッタ」は、日本国内では医薬品医療機器等法に基づく製造販売の承認を受けていない未承認医薬品にあたります。

※なお、「スリンダ」は日本国内で承認されたミニピルです。

②入手経路等

「セラゼッタ」は海外製薬メーカーより医師の責任において個人輸入したものを使用しています。

※「スリンダ」は国内の医薬品卸業者から入手しています。

③国内の承認医薬品等の有無

現時点では、日本国内において「セラゼッタ」と同一成分である黄体ホルモン単剤(デソゲストレル製剤)は、医薬品医療機器等法上の承認を受けておりません。

※なお、2025年6月下旬より、日本で初めて承認されたミニピル「スリンダ®錠(有効成分:ドロスピレノン)」は、「デソゲストレル」とは成分が異なります。

④諸外国における安全性等に係る情報

欧州各国および一部の国においては、これらの医薬品は避妊目的で広く使用されています。一般的な副作用として、不正出血、頭痛、にきび、体重変動などが報告されています。

⑤医薬品副作用被害救済制度について

「セラゼッタ」は未承認医薬品であるため、これらの服用により健康被害が生じた場合でも、日本国内の医薬品副作用被害救済制度の対象とはなりません。

 

F. 費用

避妊目的のため、自費診療となります。

  • セラゼッタ 1シート 3,850円(税込)
  • スリンダ  1シート 3,850円(税込)

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